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  • beautokyo201608

「生酛(きもと)」と「山廃仕込み」との違いとは

日本酒が好きになっていくと、いろんな言葉が気になりますね。

今回は「酒母造り」がテーマです。



日本酒を造る過程に「酒母造り」があります。酒母とは、蒸した米と水に麹、酵母、乳酸菌を加えたもので、酵母を培養することによって日本酒の発酵の元になるものです。この酒母が、日本酒の原型である「醪(もろみ)」のベースになります。

麹が米のデンプンを糖に変え、酵母は糖をアルコールに変え、酒母は酵母の集合体のようなものです。酵母とともに重要なのが乳酸菌の存在です。

乳酸菌から生まれる乳酸には、日本酒にとって必要のない雑菌を死滅させる役割があります。乳酸が入っていない酒母はさまざまな雑菌によって侵食され、やがて腐ってしまいます。酒母において、いわば酵母と乳酸は二人三脚の存在といえるわけです。

通常の日本酒造りでは乳酸は人工のものを使いますが、生酛(きもと)造りでは乳酸も手作業で造ります。人工の乳酸を使った酒母を「速醸酛(そくじょうもと)」、天然の乳酸を使った酒母を「生酛(きもと)」と呼びます。

乳酸菌を一から培養するのには時間がかかり、速醸酛(そくじょうもと)の場合、酒母は約2週間で出来上がるのに対して、生酛(きもと)は約1カ月かかります。生酛(きもと)は時間も手間もかかります。

生酛(きもと)造りと似た製造方法に、「山廃仕込み」があります。

生酛は米や米麹をすり潰し、液体にして乳酸菌の繁殖を待ちます。この米や米麹をすり潰す工程のことを「山卸し」と呼びます。

山廃仕込みは、山卸しをせずに乳酸菌を培養して、日本酒を造る製法を指します。【山】卸しを【廃】止した製法なので、山廃というわけです。

山卸しの工程で重要なことは米を溶かすことですが、技術革新や研究の成果により、明治時代末期には山卸しをしなくても麹から溶け出した酵素の力で米が溶けることが分かりました。山卸しは、冬の寒い時期に深夜から早朝にかけて1日に何度も酒米をかき回し、すり潰さなければならない重労働です加えて、熟練の技術が必要なため、誰でもできるというものではありません。山卸しをしなくても酵素が米を溶かすことが分かり、「山廃仕込み」も製法のひとつとして取り入れられるようになりました。

生酛(きもと)造りの日本酒は、深みのある味わいとコクが魅力です。加えて、手造りの酒母から育った酵母菌は生命力があり、丈夫で長生きといわれています。発酵の最後まで生きているので、余分な糖分を残さないのが大きな特徴です。

生酛(きもと)造りは、いわばお米の旨みを最大限に引き出す製法なのです。スッキリとしたキレがありつつも濃醇なその味わいが魅力です。


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